丸の内朝大学のクラスをきっかけに、受講生同士のネットワークから生まれた、
まち、地域、社会を変えるプロジェクトの活動をレポート!
2015.07.28
Theatre at Dawn (シアター・アット・ドーン)
牧場なの? いや、天の川でしょ、宇宙かも!?
計り知れぬアンドリューさんの懐の深さ
演劇ライター/栗原晶子
2015年七夕。梅雨の空模様で天の川は見られないかもしれないけれど、天から、いや宇宙から?何か授かった気分になれた人たちがいる。しかも朝から。
それは、夜明けの劇場Theatre at Dawn(シアター・アット・ドーン)が仕掛けた朝コンサートを聞きにきた人たちのこと。
ハムとチーズのクロワッサンサンドをほおばっていると、「アンドリューさんの曲、ひととおり」と題した朝のミュージカルコンサートがはじまった。
音楽監督として『ブロードウェイ・ミュージカルライブ』や『ザ・ビューティフル・ゲーム』ほか、数々のミュージカルを手がける宮﨑誠さんが演奏するエレクトーンから流れるのは、あの『オペラ座の怪人』のOverture。
はっきり言えば朝に似つかわしくないあのお馴染みの旋律。
クロワッサンをごくりと飲みこみ聞き入る人、多数。
アンドリューさんとは、言わずとしれた、ミュージカル音楽の巨匠、アンドリュー・ロイド=ウェバーさんのこと。
『キャッツ』や『ジーザス・クライスト=スーパースター』、『オペラ座の怪人』の続編となった『ラブ・ネバー・ダイズ』など大作ミュージカルを数多く手がけており、日本でも劇団四季などにより上演が重ねられている。
つづいては、『ジーザス・クライスト=スーパースター』ジャポネスク・バージョンのOverture。作品のドラマを予感させるダイナミックな曲が、宮﨑氏が操るエレクトーンから奏でられた。ちなみに、Overtureとは、ミュージカルなどで最初に演奏される曲のこと。
そして、同作品から、安達星来(あだちせいら)さんが歌う「♪私はイエスがわからない」。
何度も言うが、ここは有楽町の朝のカフェだ。
けれど、もうすでにどこに連れていかれたのか見失ってしまう世界観だ。
それが証拠に、カフェの窓の向こうを歩くスーツ姿のおじさんは店の前で足を一瞬止め、ポカンとこちらを見ているではないか。
日本でも人気の高いミュージカル『キャッツ』からは、「♪スキンブルシャンクス(鉄道猫)」を藤岡義樹(ふじおかよしき)さんの歌唱で。
演奏後には、この曲の手拍子に関するプチ・レクチャーもあって「う~ん、ミュージカルってやっぱりこういう楽しみ方があるよね~」と、皆、前のめりな感じに。
「♪All I Ask of You」は、『オペラ座の怪人』から、クリスティーヌとラウルが互いの思いを確認しあう愛の歌。
朝からしっとりした曲を聴くのもありなのだなと、すっかり劇場にいる気分。
『スターライト・エクスプレス』は、ローラースケートをはいたキャストがアクロバティックに歌い踊るミュージカル。日本では、1987年と1990年に上演された。
「懐かしい!」と感激したあなたは……(以下、省略)。
『ラブ・ネバー・ダイズ』からは、「♪Till I Hear You Sing」を中村詞文(なかむらのりふみ)さんがドラマチックに歌い上げた。
ラストは、アンドリューさんが学生時代に製作したというミュージカル『ヨセフと不思議なテクニカラーのドリームコート』から「♪Any Dream Will Do」。
3人でさわやかに、リズミカルに歌うこの曲のイメージは、今回の「ドーンの夏休み ミュージカル牧場」のポスター&パンフレットのイラストみたい。
「あ、ようやく朝だったことを思い出したね」
ということで、朝コンサートはここまで。
アンドリュー・ロイド=ウェバーの曲をこれでもか!と続けて聞くと、改めてその懐の広さを感じる作品揃いだということがわかる。
今度は夕方からお酒を飲みつつ、アンドリューさんの曲に酔いしれたいなぁなんて思ってしまったけれど、あれ、そうしたらTheatre at Dawn(シアター・アット・ドーン)じゃなくなっちゃうか。
ともあれ、こんな<良いとこどり>のミュージカルコンサートは、聴く人を確実に「その気」にさせてくれる。
「その気」っていうのは……、いや、もう説明はいらないね。
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演劇ライター/栗原晶子
イベント情報誌やフリーマガジンの編集者を経て、フリーの編集&ライターに。王道ストレートプレイからミュージカル、コントまで、旬の生モノを発信する劇空間を求める日々。主な執筆に、『Golden Songs』公演プログラム、ミュージカル『ファントム』稽古場レポート、『ロミオ&ジュリエット』アフタートークショーレポートなどがある。また、整理収納アドバイザーとして、auスマートパス[住まい]にて片づけ・収納コラムを連載中。
観劇blog 『拝啓、ステージの神様』
イラストエッセイブログ『食べ頃シネマ』
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